対談・行政書士実務家シリーズ

 プロフィール
 1966年生
 明治大学法学部卒

 明治大学大学院法学部法学研究科 公法学修士課程修了(法学修士)

 行政書士(特定行政書士)/知的財産管理技能士1級(コンテンツ専門業務)

 役職:日本行政書士会連合会 第三業務部知的資産部門専門員
    東京都行政書士会世田谷支部理事 東京都行政書士会知財部門担当理事
 駒沢公園行政書士事務所
  サイト http://ootsuka-houmu.com/
  ブログ http://ootsuka.livedoor.biz/

 

『著作権のスペシャリストとして活躍する』

行政書士の業務一般について

葛原  行政書士の一般の業務として、建築確認とか運輸系、建築等、風俗営業関係(カラオケ、パチンコ)に関する申請業務があるわけですが、その需要が多いですかという質問がよくあるのですが。

大塚  当然、これはメインですね。
ただ、最近のお話を伺っていると不況ということもあって、多少減っている傾向にあるそうですね。

葛原 人によって大分業種が分かれているのですか。

大塚 分かれていますね。人によっていろいろなことをされる方もいらっしゃいます。
最近、勉強会で一緒になった方は、もともとJRAの競走馬の種馬について記事を書いていた方で、騎手が何かの事情で資格を剥奪された場合は、行政不服審査の対象となるので、それを扱ってみたいと言われてましたね。
行政書士は、ご自分の今までの経歴を生かした切り口があるんですね。

葛原 それは思いも寄らないお仕事ですね。

大塚 種馬の契約も、今まで契約書が全然なかったらしいんですね。
ですので、これについての契約書の作成もやっていきたいと言われてました。
あと千葉などではペット法務が盛んらしいですよ。

葛原 ペット法務というと?

大塚 動物愛護法とか、ペットに関する法律がいろいろありますね。
ペット関連の事業者が備えるべき要件などについて、改正が頻繁にあるようなので、そこで仕事を展開されている方もいらっしゃいますね。
あとペットの幼稚園とか商標登録した後のライセンス契約とか

葛原 いろいろあるんですね。

大塚 行政書士の切り口はいろいろありますから、好きなところ、興味のあるところを深堀りしていかれるといいんじゃないかと思います。

大塚先生の業務について

葛原 大塚先生の場合は、著作権業がメインということですが、具体的にどのような仕事を多く扱われていらっしゃるのでしょうか。

大塚 主に契約書の作成ですね。割合的に言うと法人が多くて、業種的に言うとIT系が6割ぐらい、3割が音楽関係で、後はクリエーターさんですね。

葛原 IT系というとプログラムの著作権契約ですか?

大塚 そうですね。あとウェブ廻りですね。インターネットでEコマースやりたいという方も含めて。ウェブで技術を売って行きたいという方もいらっしゃいますし。

葛原 そのような方々に対する営業はどのようにやられていらっしゃいますか?

大塚 基本的に私の場合はウェブだけです。当初は、タウンページとかちょっとしたチラシとかやったこともあったのですが、結局、反応がゼロだったので、これはやはりウェブに特化した方がいいなということで、今は、ウェブにお金をかけるようにしているというところです。

葛原 かなり判例のブログが充実されているようですが。

大塚 ええ、まぁ趣味半分ということで。

葛原 あれが、趣味ですか! 仕事が趣味のような(笑)。それと、ブログのほかにメインの事務所のサイトもありますね。その連携とかどうですか?

大塚 ブログがユニークユーザで一日200件、事務所が20件ぐらいで、ブログから事務所のサイトに流れてくるというよりも、依頼される方は、事務所のサイトにダイレクトに来られることが多いと思います。

葛原 本当に求めていらっしゃる方が、検索して事務所のサイトに辿りついているという、何か一本釣りのような感じですね。

大塚 そんな感じだと思いますね

葛原 契約書を作成するというのは、当事者双方から話を聞いて作成するということになるのですか?

大塚 基本はお金を出す方から話を聞いて、その方にメリットになるように作成します。そこで、相手が交渉してきたら、そこでまた契約書の内容を再度調整して提案していくようになります。

葛原 大塚先生の場合、専門性を高めるために何をツールとして勉強をされているのでしょうか。

大塚 私の場合、キーワードは著作権と契約書なのですが、特にその関係にツテがあったわけではなく、ゼロから勉強しました。基本は本ですね。

葛原 今は、勉強会とかされていらっしゃるようですが。

大塚 当時はまだそのようなものはなかったんです。
勉強会については、最初は東京会の知財部門でウェブサイトの監修とか少しお手伝いをしたときに、その任期が終わるにあたり、東京会の知財部長に声をかけられて4人で勉強会を続けたというのが始まりです。判例研究とビジネス研究ということで続けてきて、今では100人ぐらいになっています。

葛原 それはすごい発展ですね。それから大塚先生は、公認不正検査士(CFE)もやられているということですが、これはどういうものですか?

大塚 ライセンス契約を作成する仕事をしていて、たとえば2万個グッズを作るというライセンス契約を作ったときに、その中に、年末に2万個作ったかどうかというチェックしますよという条項を入れることがあります。その場合に、実際に工場に行ってチェックする、その時の検査官をやれるというものです。

葛原 ワンストップサービスで万全ということですね。

大塚 そうですね。2006年ぐらいからアメリカの資格が日本に入ってきたものですから、そのときにとって、今のところ維持しているというところです。

葛原 こういういろんな制度が出来ていくと、行政書士の発展にもつながりますね。

大塚 そんなところのコラボもできるんじゃないかなと思います。

仕事のスケジュールについて

葛原 一週間のスケジュールは、どのような感じですか?

大塚 営業時間は10時~18時ですが、比較的、仕事があればあったでやってるというか。
自由業のサガというんでしょうか、山あり谷ありで(笑)。
暇なときは暇ですが、どういうわけか仕事があるときは固まってあるという、そんな感じです。 やりたくないときはズルしたり…(笑)。
あとは納期を調整して、あまり徹夜とかならないようにはしています。

葛原 ご自分で時間をうまくプランニングできるというのは、自営業の魅力の1つですよね。時間のプランニングについて、コスト面からもう少し詳しくお話いただけますか?

大塚 一番最初に行政書士を始めたときに、コストの設定といいますか、自分が行政書士としていくらとっていくのかについて先輩の行政書士に相談したときに、1時間5,000円でやっていると聞いたので、それじゃあ自分もそこから頑張ってやっていこうかなと、1時間5,000円になるように始めてみました。そして、タイムチャージを少しずつでも上げていくことを目的にしてみて、今、少しずつ上がってきています。1時間、かっちりできたかできないかを1つの基準にしながら仕事をやっているというところですね。
知財を扱う弁護士さんや相談に乗っていただく公認会計士さんのタイムチャージが25000円前後ですので、そこにどれだけ近づけるか、という感じです。

葛原 まずは1時間5,000円は稼げるようにお仕事を組み立てていかれたというわけですね。

大塚 ダラダラやるというのは絶対嫌なんですね。
それと、単価も上がってきますし。実際に契約書を作っていくと、内容がどんどん固まってくるじゃないですか。そうすると新しい依頼があっても、常にゼロからやるというわけではないので、スピードもどんどん速くなっていくということで、実質の時間あたりの収益はどんどん上がっていますね。

葛原 それはすごく魅力的ですね。

開業について

葛原 今、ちょうど行政書士試験が終わったところで、これから開業を考えていらっしゃる方もおられると思うのですが、大塚先生の場合、開業費用についてどのぐらいを予定されていましたか?

大塚 事務所を借りるなどの固定費をかけるのはリスキーだったので、自宅開業にしてできるだけコストを落としたのですが、ただ、本などの資料は必要でしたね。それとウェブ廻りは一番かかるだろうなということで、そのあたりは多少膨らませて用意していました。

葛原 申請したら、どれぐらいで登録できましたか?

大塚 1、2ヶ月ぐらいだったでしょうか。丁度締め日が決まっていて。
それにあわせてウェブを立ち上げるようにしましたね。

葛原 一般的に、開業費として当初どれぐらい用意しておけばいいものですか?

大塚 登録費用は当然として、それ以外は名刺代、看板代などで最低10万は必要じゃないかと思います。 あと当面の生活費とある程度のランニングコストを用意してということになると思います。
あとこれはよく聞かれるんですけども、落ち着くまで3年ぐらいかかるかなという気がします。

葛原 登録費用は都道府県によって違うようですが、たとえば安い千葉で登録して東京で仕事をすることもできるのですか?

大塚 仕事の管轄はありませんから、OKです。
公証人の定款の認証のように、東京で設立の人は東京の公証役場でしか認証できないという感じはないんですね。

葛原 最初に仕事が来たのは、登録してからどれ位でしたか?

大塚 最初は、知り合いからでしたが。早くからウェブを立ち上げたので、ウェブからの相談とか問い合わせは比較的早くから来ていましたね。

葛原 契約業務ですと、どうしてもお客様と一回きりのお付き合いというイメージがあるのですが。

大塚 一回きりかというと、そうでもなくて、月にいくつか契約本数がある方とは顧問契約という形に切り替えをしていきます。今だと顧問契約が7件ぐらいでしょうか。

葛原 継続的な契約になるというのはいいですね。許認可中心の方は、一回きりというのが多いとお聞きしていたので、扱う業務によっても大分違うのですね。

行政書士会の取組みについて

葛原 行政書士になってから専門性を高めていくこととも関連するのですが、連合会の中にいくつか部門があっていろいろ取り組みされているようですが。

大塚 連合会の中に部門があって、業務部門だと第一が運輸交通、建設などの部門、第二が権利義務・事実証明、成年後見などの部門で、第三が国際、知的資産などの部門ということで、そこで法改正の情報収集、研修、対外的な役所との折衝などを行っています。

葛原 では、連合会が研修をやっているとか…。

大塚 日本行政書士会連合会というのは、単位会の集まりなんですね。研修自体をやるのは東京とか千葉の単位会で、連合会も、その単位会の建設の担当者であるとか、知財の担当者向けに内部研修をやっていますけど。ですから、行政書士会によって全然様子も違うみたいですね。
たとえば某県の方に聞くと、うちは全然研修なんてやっていないということもあります。東京ですと、私は世田谷支部なんですが、支部研修もあるし都の研修もあるということで、かなり沢山やっています。

葛原 具体的にはどのような研修があるのでしょう。

大塚 最近のトピックスでいえば、暴対法関係とかありましたね。他にも建設とか、風俗営業とか、さまざまなものがあって、自分が必要だというものをチョイスしてどんどんやっていけるようになっています。

葛原 制度としてはかなり安心ですね。

大塚 全部受けていたら、時間がなくなっちゃう…(笑)。

葛原 研修の費用はどうでしょう?

大塚 ほとんどかかりません。よほどのときに資料代として1000円ぐらい徴収されるぐらいで。

葛原 よく市役所とか公民館とかでの相談も部会がやったりしているのですか?

大塚 そうですね。
丁度、10月に行政書士月間があったところでして。これは行政書士の活動を広く浸透させようというものなんですが、世田谷支部でも千歳烏山の区民センターの前で青空無料相談ということで、1日テントをはって相談会をやりました。

葛原 どのような相談がありましたか?

大塚 1日出て10件ぐらいの相談に対応しましたが、世田谷の土地柄か、相続、遺言といったものが多かったです。これがきっかけで、後日、遺言書の作成を依頼されたりということもあります。
それから、今、行政書士会ではADR(裁判外紛争解決)にも取り組んでいて、ペットと自転車と敷金などを扱っています。

葛原 行政書士の守備範囲は、さまざまに広がっていっていますね。

これからの行政書士について

葛原 これからの行政書士像ということについてお伺いしたいと思います。
従来の許認可業も重要だけれど、ネットの発達でインディペンデント(独立)な事業者、クリエーターなどが台頭したことで、行政書士にエージェント的な役割が期待されているということを言われてますが。

大塚 たとえば1000万部の売上があるメジャーの漫画家さんのように、出版社から離れて、自分の会社を作ってマネジメントをして、自分で販売促進していく、そういうことが可能なIT環境が整ってきたわけですが、そうすると自分で法務も扱わないといけないわけです。これで法務を担当できる人に対する需要が増えてきていますね。

葛原 そうすると、たとえば携帯のアンドロイドなどは個人で自由にアプリを作ることができるわけですから、そういう方の契約関係を保護するというような需要もありますね。

大塚 そうですね。あとアップルになると、アップルとのデベロッパー契約に則ってやることになるわけですが、実際にアプリがアップルに採用されるかどうかというハードルが1つあるので、アプリを作ったが採用されなかったときにどうするのかということを納入先との間で契約書で交わしておくというのがありますね。

葛原 あらかじめ予防法務的にこういう契約を交わすようにしていきましょうとお伝えしていくのも大事なりそうですね。

大塚 依頼してくださる方は、その辺りが不安なので契約書の作成を頼まれるわけです。

葛原 今まで、本契約になった段階で契約書を作成するものだと思っていましたが、それ以外もいろいろ需要がありそうですね。

大塚 既存の業界であれば、口約束でもよかったのですが、組織から出て仕事をしたり、他の業界の人と仕事をするような場合が増えてきて、契約書に対する需要は増えていますね。
あとはどういう契約書が必要になるのか、それがどのようにクリエーターさんなどの権利を守ることになるのかということを、もっとお伝えできたらなぁと思っています。

葛原 そういうことは知らない人の方が多いですものね。
ということは、うまくそれをお伝えしていくことで、益々発展していくようになりますね。実際にお聞きしてみると、改めて行政書士の魅力を感じました。本日は、どうもありがとうございました。

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