民法なエブリディ 遺言


お母さん
お兄さん
まや
【物語】
白居土家のお父さんの初七日が過ぎ、お母さんが
1通の手紙を出してきた。
母:これがお父さんの遺言書よ。
まや:すごい!父さん、字が書けたんだ。
兄:俺が、口にペンをくわえて書くように教えたのさ。
ほら、ここに涎の跡がある。
母:それより、遺言がね、「俺の財産は、やわらかパンク
財団に全額寄付する」って書いてあるのよ。
人にはおトクなことやっておいて、私達には
残さないなんて。
まや:ねぇ、ちょっと待って。
遺言書の日付が「平成13年10月吉日」になってるわ。
兄:ヤベっ。
日にちの書き方を教えるの忘れてた。
まや:これじゃあ、遺言書は無効じゃない
【問題】
日付を「平成13年10月吉日」と記載した自筆遺言証書は無効である。(H5-32、H13-30)
↓
↓
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【正解】 「○」
母:日付を自書しても、「平成13年10月吉日」という 記載だと無効になるんですね。
さくら:自筆遺言証書については、遺言能力の有無や 遺言の前後を確定するために日付を自書しなければなりません(968条1項)。
しかし、「吉日」では、暦上の特定の日を 表示するものとはいえず、日付の記載を欠く 遺言として無効となります(最判S54.5.31)。
母:お父さんは、張り切って遺言書を作ったでしょうに。
さくら:たとえば「60回目の誕生日の日に」とか、 「銀婚式の日に」というように、作成した日を特定できる記載ならよかったのですが。。。
まや:ということで、遺言書は無効だから、遺言を 無視していいってことよね。
兄:やったぁ! 俺たちで遺産を分けようぜ。
(お父さんの声) 「お前にはまだ早い!」
母:じゃあ、お父さんの遺産は私がもらうわ。
まや:私にもちょっとだけ。
兄:それなら俺にも半分寄こせよ!
(お父さんの声) 「今日はここまで!!」
【条文】
(自筆証書遺言)
第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
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