令和2年度記述式問題45について

錯誤でも正解になるのか!?

問題45は、第三者Cに騙されたAが、Bとの売買契約を1年後に取り消すことができるかという問題でした。

騙されたということですから、まず思いつくのが「第三者による詐欺」を理由とする取消し(民法96条2項)でしょう。

第三者による詐欺を理由に取り消すには、契約の相手方(B)が、その意思表示が第三者の詐欺によるものであることを知っている又は知ることができたことが要件ですので、これを書けばOK。

ちょっと注意かなと思うのは、問題文の「「本件契約に係るAの意思表示」を「契約」と表記すること。」という記述です。

わざわざ書いている以上、解答する際は「契約」を使うということです。

予備校の解答をみていますと「・・・契約を取り消すことができる」というものもありました。

確かに文章としては、通常はこのとおりなのですが、40字程度という制約の中で、問われているのは、「取り消すことができる」という結論と、これを導くための理由(要件)です。となると「契約が詐欺によるもの」あるいは「詐欺による契約」であるというところで「契約」を記述することを予定していたのではないかと、個人的には考えています。

そして、本来であれば、「詐欺を理由に取り消すことができる」としっかり記述したいところですが、40字程度という制約があって厳しい。となれば、「知り、又は知ることができた」というのは、「悪意又は有過失」としても構わないと思います。

次にもう1つ取消事由として考えられるのが「錯誤」です。

設問は、売買の目的物である土地に「爆弾が埋められていて、いつ爆発するかわからない」と言われて錯誤に陥ったケースで、「法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する」場合にあたります(民法95条1項2号)。

しかし、この要件を記述するとなると、

1) Aの錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要であり、

2)AB間の売買契約において、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されており、

3)その錯誤についてAの重過失がないか、又は、BがAに錯誤があることを知り又は知らなかったことに重過失がある、もしくは、Bも同一の錯誤に陥っていた

ということを書かなくてはなりません。

しかし、これはどうやっても40字程度で記述することができません。したがって、錯誤取消しでは正解しようがありません。

正直なところ、問題作成者は、錯誤に基づく取り消しについては、想定していなかった・・・という気もしなくはありません。

もちろん、実務的には、錯誤も詐欺もいずれも主張できますし、大抵は、いずれも主張しておいて、後は立証し易いところから立証していくのですが。。。

では、解答として、「Aは、錯誤又は詐欺を理由に契約取り消すことができる」と書けばよいかというと、それは違うと考えます。なぜなら、それぞれ所定の要件を満たさない限り、Aは、契約を取り消すことができないからです。

設問について、錯誤も詐欺も盛り込んで正確に書くならば、「Aは、錯誤又は詐欺を理由に契約取り消すことができる可能性がある。」としか書けないはずなのです。

40字程度に収まるように解答できないから、動機による記述は正解ではないというのも、妙な理屈ですが、ここはもうやむを得ないかなというところだと思います。