令和2年度記述式問題44について

被告は土地区画整理組合だけど。。。

問題44は、取消訴訟の出訴期間が経過している時点で、本件換地処分の効力を争い、換地のやり直しを求めるために、

ⅰ誰を被告として、ⅱどのような行為を対象とする、ⅲどのような訴訟(抗告訴訟に限る)を提起すべきかという問題。

これは難儀な問題だったと思います。

まず被告(ⅰ)が誰か、これがわからなかった方が多いのではないかと予想します。

一般論としては、処分をした行政庁が国又は公共団体に「所属する場合」には、当該処分をした行政庁の所属する「国又は公共団体」が被告になり、国又は公共団体に「所属しない場合」には、「当該行政庁」が被告になります(38条1項、11条1項、2項)。

ここまではわかっても、土地区画整理組合の位置づけがわからなかったという方が多いと思います。

そうなると、土地区画整理組合が「公共団体(設問のA県)」に所属するか否かを考えずに、過去に出題された問題の解答を浮かべて、反射的に「A県」と答えたくなります。しかし、正解は「本件組合」。

土地区画整理組合とは、土地区画整理事業を行う施行者の1つで、地元の地権者からの自主的な発意により土地の所有権者及び借地権者7名以上により構成されるものです。民間の事業者ですから、公共団体には所属しません。

(ちなみに土地区画整理事業の施行者になることができるのは、個人、土地区画整理組合、都道府県、市町村、国土交通大臣、都市再生機構等になります)

一般に、処分をした行政庁が国又は公共団体に所属することが多いので、被告については「A県」と書いてしまっても、仕方がないかなと思います。・・・A県以外は書けていれば、部分点はつくので、ここで合否が分かれるというところではありません。

(A県が書けなくても、他に点数を稼げるところは沢山あるので)

次のどのような行為を対象とするか(ⅱ)については、設問では、換地処分が完了した段階で、「本件換地処分の効力を争い」たいわけですから、対象となる行為は、「本件換地処分」となります。

また、「どのような訴訟(抗告訴訟)かについては、設問に「提訴期間がすでに経過している」とありますから、迷わず「無効確認訴訟」。ここは書けないといけません。

さて、ここからが問題です。

無効確認訴訟については、勝訴したところで、「本件換地処分」が無効になるだけ。

Xとしては、換地のやり直しを求めたいのですから、はたして無効確認訴訟だけでよいのか。。。

そう、換地処分変更の義務付け訴訟を併合的まで書くべきかどうかが問題になります。

設問に答える形で「●●を被告として●●の行為を対象とする●●訴訟に●●の義務付け訴訟を併合提起すべきである。」と解答しようとすると、45字をオーバーします。

しかし、これまで行政書士試験研究センターから発表された解答例からすると、設問に対し、完全なオウム返しのカタチで記述していない例も多々あります。そうすると詰め込めなくもありません。

しかし、他方で、設問は「どのような行為を対象とする、どのような訴訟」とかなり厳密な書き方をしているので、義務付け訴訟を付け足すのも変な気がする。。。

と、あれこれ考えが浮かんでくるわけです。

実は、地裁レベルの判例(名古屋地方裁判所平成21年1月29日)になりますが、本件仮換地指定の取消訴訟に本件仮換地指定の変更の義務付け訴訟が併合提起された事案では、義務付け訴訟を却下しています。

すなわち、非申請型の義務付けの訴えは、「行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされない」場合において、「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができ」ます(行政事件訴訟法37条の2第1項)。

ところが、原告が勝訴した場合、被告である組合は、行政事件訴訟法33条1項により、判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断にわたって取消判決に拘束されることになり(最判平成4年4月28日参照)、その勝訴判決の後に改めてされる被告C組合の仮換地指定によって、原告らの実効的な救済が図られるとして、「その損害を避けるため他に適当な方法がないとき」とは認められない、とされました。

判例は、事案ごとの判断なので、直ちに一般化することはできませんが、設問では事業計画も確定して、工事も完了しています。この段階で、判決で換地処分が無効だとされたら、そのまま換地処分をしないで放置されてしまうことにはならないでしょう。

そうすると、やはり「その損害を避けるため他に適当な方法がない」とは「いえない」としてよいと思われます。

ということで、義務付け訴訟の併合提起については「書かない」ということでよいと考えます。

被告を「土地区画整理組合」にすること、また、義務付け訴訟の併合提起について触れるか否かという2点において、難しい問題だったと思います。