平成30年度行政書士試験・問題45について

平成30年度行政書士試験 問題45について

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問題を簡単に説明すると、次のようになります。

1) 画家A-売買契約-B(成年被後見人)・・・C 成年後見人

(本件絵画500万円で売却)

2)D:600万円で本件絵画の購入の申入れ

⇒画家Aは、本件契約が維持されない場合は、本件絵画をDに売却したい。

Aは、本件絵画をDに売却する前提として、①誰に対し、②どのような催告をし、③どのような結果を得る必要があるか。

【解説】

Bは成年被後見人ですから、AB間の本件契約は取り消することができるものです(民法9条本文)。

これは成年被後見人を保護するための制度ですから、取消権者は、成年被後見人Bと成年後見人Cです(民法120条1項)。契約は有効に成立しているけれど、B又はCが取り消すことができる状態ということになります。

Aからすると、契約はいつ取り消されるかわからない、それなら、いっそ契約をなかったことにして、Dに売却したいと思うわけです。問題文は、「誰に対し」、「どのような催告」と記載してありますから、「催告」で解決する方法を考えなくてはなりません。

制限行為能力者の相手方の催告権(民法20条)のことを書いてくださいということは明らかです。

まず「誰に対し」て催告するかというと、成年後見人Cになります(民法20条2項)。ちなみに成年被後見人に対する催告の規定はありません。成年被後見人には意思表示の受領能力がないのですから(民法98条の2)、催告(意思の通知)も意思表示に準じて受領能力を欠くということです。

次に「どのような催告」をするかについては、本件契約を「追認するかどうかを確答すべき旨の催告」(民法20条2項)をすることになります。

しかし、Aが本件契約をCに追認して欲しい=確定的に有効にしたいのであれば、「追認するかどうか」でよいのですが、Aとしては、契約をなかったことにしたい、つまり、取り消して欲しいわけです。ですから、実際に催告する場合は、追認するか取り消しするかを確答してくださいということになります。そうでないとAが欲しい結果は得られません。

では、「追認するか取り消しするか」と書かないと点が来ないかというと、条文によって与えられた催告権の内容は「追認するかどうか」ですから、そこまでは要求していないように思います。

そして、最後に「どのような結果を得る」必要があるかですが、「取り消しという結果を得る」あるいは「取消しによる遡及的無効を得る」必要があるということになります。設問に「画家Aが本件契約が維持されない場合には、本件絵画をDに売却したいと思っている」とあるからです。Dに本件絵画を売却するには、Bとの売買契約をなかったことにしなければなりませんよね。

ここで、追認しない旨の確答だけでは、単に取消権を放棄しないと言っているだけで足りません。民法20条2項の「追認」は取消権の放棄ですから、追認しない旨の確答を得たところで、取り消すことができる状態が継続するだけです。

翻って考えますと、もともと民法20条2項の催告の効果は、相手方が所定の期間内に確答を発しなかった場合に、取り消し得る行為を追認したものとみなされるというものです。つまり、制限行為能力者の相手方が、取り消し得る行為を確定的に有効にしたい場合に、有利に働くものです。したがって、この催告を契約をなかったことにしたい場合に使うことが、少々迂遠のように感じます。

法律問題というのは、どのような法的効果を得られるかという問題なのですが、この設問文が「どのような法的効果を得る」必要があるかではなく、「どのような結果を得る」必要があるかとしているのも、答えさせたい正解が催告の法的効果ではないことに起因しているのかもしれません。

実務的には、設問のような場合は、素直に解除の申入れをすることになるように思います。

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